2007年12月31日
 ある町に一人の少年がいました。
名前をケンタといいます。
ケンタは今年の4月で小学校2年生になりました。
ケンタという名前は健康の「健」に「太い」と言う字を書きます。
「いつも元気で、芯の太い人間に育って欲しい」という思いで、お父さんとお母さんが
名付けました。

一人っ子のケンタは、お父さんとお母さんにとても愛され大事に育てられました。
お母さんはいつも一緒に公園に行って遊んでくれるし。家では本を読んでくれました。
とても上手に読んでくれるので、いつも聞き入ってしまいます。
休みの日は、お父さんが大好きなドライブに連れて行ってくれるので、いつも日曜日が待ち遠しくてたまりませんでした。
特にお気に入りなのは、家から車で30分ほど走ったところにある、とてもきれいな橋のある土手までドライブすることでした。
ここにくれば、いつもきれいな花が咲いていて、橋の下の遊歩道には小さな小川が流れていて、小さな生き物がたくさんいるからです。ケンタはここに来ていろんな生き物を見つけて、覗いたり捕まえたりするのが大好きでした。

しかし、そんな幸せな日々をおくるケンタの家族に、とても悲しいできごとがおきました。
posted by きままなしおん at 22:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 夢の声
2008年01月01日
今からちょうど一年前、いつものように家族でドライブに出かけた帰り道、突然、反対
車線の車がはみ出し、正面衝突してしまったのです。
その時、ケンタは後ろの席にいたのでなんとか助かりましたが、お父さんとお母さんは帰らぬ人となってしまいました。
ケンタはこの事故で大好きなお父さんとお母さんを失ってしまったことが信じられず、
この悲しみに耐えることができません。
そして、ケンタは事故以来、誰とも言葉を話さなくなってしまいました。

 一人ぼっちのケンタは、遠く離れた町に住むおじいちゃんとおばあちゃんの家に引き取られました。
「ケンタ、早く起きて。遅刻するよ。」
「・・・・・・。」
今日もいつもと同じ様に声をかけるおばあちゃん。しかしケンタは返事をしません。

「ふうっ。いったいどうしたらいいんだろう・・・。」
おじいちゃんと顔を見合わせて、ため息をつく毎日でした。
おじいちゃんとおばあちゃんも、あの事故で大事な娘とその夫を亡くした悲しみが今も残っています。
その大事な娘達が残した可愛い孫を、何とか元気付けたいと思っていますが、どうしたらいいのかわからず、結局いつもと同じ会話しか出来ない毎日でした。

ケンタは学校に毎日きちんと行きます。
授業もまじめに受けています。
しかし、相変わらず誰とも話をしません。
友達とも、先生とも話をしません。いくら話し掛けても笑顔で応えるのがやっとです。
そんなケンタのことをクラスのみんなは、
「なんだあいつ、へんなやつだな」
とあきれる子や、中には
「あいつ親がいないんだってさ」
と言って意地悪なことを言う子もいます。
でもケンタは学校で意地悪なことを言われても涙ひとつ見せずに、じっと耐えていました。
それはケンタにとって、お父さんとお母さんを失った悲しみがあまりにも大きいので、  みんなに意地悪なことを言われるぐらいぜんぜん平気だと思っていたからです。
「ケンタくん大丈夫? つらいことがあったらなんでも言ってね。」
クラス担任の リエ先生は、ケンタのことが心配でいつも気にかけてくれますが、ケンタはニコッと笑顔を見せて小さくうなずくのが精一杯でした。
 学校が終わると、友達のいないケンタは足早に家に帰ります。
しかし、家に帰っても部屋に閉じこもりっきり。
そんなすがたを毎日見ているおばあちゃんは、とても心配でたまりません。

 それから数ヶ月がたち、学校は夏休みに入りました。
posted by きままなしおん at 15:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 夢の声
2008年01月02日
「近所の子供達は、みんな朝から外で楽しそうに走り回っているのに、ケンタはあいかわらず家で閉じこもりっきりか。何とかしなきゃなぁ」
とおじいちゃんが独り言のようにおばあちゃんに話かけましたが、おばあちゃんはもう半分あきらめていたので、何も言うことがありませんでした。
 そんなある日、おばあちゃんが町に買い物に出かけていると、商店街のはずれにある  自転車屋さんの、店先に置かれた小さな自転車に目が留まりました。
「なんか可愛い自転車だな・・・。」
おばあちゃんは自然にそう思いました。
見た目は、何の変哲もない子供用の小さな自転車です。ハンドルの前にかごがついていて、その正面に顔の絵がついています。
「可愛い顔だなあ・・・。」
おばあちゃんはその顔をみて、なんとなく親しみを覚えました。
「そういえば、ケンタは自転車を持っていなかったわ。ちょうどいい! 自転車を買ってあげれば、すこしは外に遊びに行くかもしれないわ。」
「すみません、この可愛い自転車くださいな。」
「はいよ。まいどあり。」
おばあちゃんは、迷わずのその自転車を買い、家に運ぶことにしました。
posted by きままなしおん at 11:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 夢の声
2008年01月03日
 とりあえず自転車を手で押しながら、近所の広場に行きました。
幸いなことに、今日は誰も遊びに来ていません。
だれか知っている子がいたら恥ずかしいし、普段話をしないから仲良くないので、またいじめられるかもしれないのでひと安心です。

早速、自転車にまたがりペダルを踏んでみました。
でもすぐにバランスをくずし転んでしまいます。
みんな簡単そうに乗っているので、自分もすぐに乗れるようになると思っていたのに、なかなかうまく乗れません。
それでもあきらめずにがんばってチャレンジします。
少し進んでは転び、また立ち上がっては、こいでみる。
何度も何度も転んでいるうちに、足も腕もキズだらけになり、空も次第に夕焼け色になってきました。
「もういいや、こんなの一人じゃ無理だよ。」
そう心のなかで、ぼそっとつぶやいたとき、どこからか声がきこえてきました。
「ケンタがんばれ、あきらめるな。」
周りを見まわしても誰もいません。おかしいなと思いながら、家の方に歩き出そうとしたとき、また、すぐそばから声が聞こえてきました。
「がんばれケンタ、あきらめちゃダメだ。」
ケンタはその声がはっきりと聞こえました。
その声は、間違いなく、自分のすぐ横にいる自転車から聞こえてきたのです。
おそるおそる自転車に目をやり、その、かごについている顔の絵を見てみると、こっちをみて優しく微笑んでいます。
「ケンタ、もうすこしだ。一緒に頑張ろう。」
自転車のかごについている顔がそういっています。
ケンタは、びっくりして腰が抜けそうになりましたが、不思議と自転車に言われた言葉が心に響き、がんばってみようという気持ちになりました。
posted by きままなしおん at 10:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 夢の声
2008年01月04日
「分かった。がんばるよ。」
ケンタはキズだらけの足をふんばって立ち上がり、もう一度チャレンジしてみました。
「よしっ、行くぞっ!」
今までで一番いきおいをつけて、ペダルをこぎ出しました。
いままでよりバランスが保てそうでしたが、またすぐにバランスがくずれそうになります。
「うわぁ、またダメだ。」
と思った瞬間、だれかが後ろで支えてくれているような感じがして、バランスを取り戻すことができました。
「よし、いけるぞ!」
そう思ったケンタは今日一番の力を振り絞ってペダルをこぎました。
どんどんペダルをこぎ、スピードが上がっていきます。
「やったぁ、やったぞ!」
突然ケンタは自転車に乗ることができました。
「やったぁ、自転車くんありがとう。」
ケンタは思わず声をだして、自転車にお礼を言いました。
あの事故以来、初めて声をだした瞬間でした。
「よかったねケンタ!」
自転車が笑顔で応えます。

 自転車が乗れるようになったケンタは、それから毎日、朝から自転車で出かけるようになりました。
「いってらっしゃいケンタ。車にきをつけるんだよ。」
自転車のおかげでやっと外に出かけるようになったケンタを見て、おばあちゃんはうれしくてたまりませんでした。
「これならそのうち言葉も話すようになって、友達もできるかもしれないな。」
おじいちゃんも期待にむねをふくらませています。
「ねえ ふらんきぃ、今日はどこに行こうか。」
「そうだねぇ、今日は川の方に言ってみようか。」
ケンタは、たったひとり話をすることが出来る自分の自転車に「ふらんきぃ」という名前をつけました。
なぜ「ふらんきぃ」なのかはよくわかりませんが、ケンタはそう決めました。
ふらんきぃはどこに行くにも道に詳しく、ケンタが行きたいと思うところに、どこへ  でもつれて行ってくれます。
昨日は、「この町で一番見晴らしのいいところ」に連れて行ってくれました。
その前は、「カブトムシがいっぱい取れる林」に連れて行ってくれました。
なぜか、ふらんきぃは道のりだけでなく、ケンタがどこに行けば喜ぶのか、すっかりお見通しでした。
「すごいよ、ふらんきぃ。なんでこんなところ知ってるの?」
「ケンタの行きたいところならどこだって知ってるよ。」
2人はすっかりなかよしです。ケンタはふらんきぃがいてくれれば、もうだれとも話をしなくてもいいと思いました。
夏休みが終わって、学校が始まっても、ふらんきぃがいてくれればクラスのみんなと話をしなくたって平気だ、と思っていました。
でもそんなケンタのことを、ふらんきぃは心配でした。。
「ケンタはどうしてみんなとお話しないの?」
ふらんきぃはケンタに聞きましたが、その質問にはケンタは何もこたえてくれません。
きっと自分でもよく分からなかったのかもしれません。

夏休みも終わりに近づいたころ、いつものようにケンタとふらんきぃは「自転車ドライブ」に出かけました。
posted by きままなしおん at 13:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 夢の声
2008年01月05日
「今日はどこ行く?」
「今日はとっておきの所につれてってあげる。」
「えーどこどこ?」
「それはついてのお楽しみ!」
ケンタはわくわくしながら、いつもよりも早く早くペダルをこぎました。
 がんばってこいだおかげで、目的の場所がだんだんみえてきました。
ケンタの目に入ってきたもの、それはむかし、お父さんによく連れていってもらった
「とてもきれいな橋」によく似た橋でした。
めがねのような丸が2つ描かれたその橋のまわりには、青々としげった木々が立ち並び、色とりどりの花が咲いています。
その橋の下には、遊歩道と小さな小川が流れています。
ケンタは、以前のお父さんお母さんと一緒だった楽しいときを思い出しながら、その景色をながめていました。

 橋の上に来て、ふと下の遊歩道をながめていると、どこかで見たことのある人が歩いているのが見えました。すると、その人をみたケンタは言いました。
「あっ、お母さんだ。」
「そんなわけないだろう?」
「いや、あれは絶対お母さんだ!」
すると突然、ケンタはふらんきぃを橋の上に留めて、急いで下の遊歩道に走っていきました。
橋をわたり、そこから土手をころげおちるように下り、必死で追いかけました。
しかし、その人は見当たりません。
ケンタは、どうしてもその人にあいたくて、いっしょうけんめい探しました。
その人がお母さんじゃなくて、ただ、にているだけだという事は、ケンタには分かっていたかもしれません。でも、どうしてもその人にあいたくてあいたくて、がまんができません。

 あれから1時間たっても2時間たっても、ケンタは探しつづけました。
もう橋が遠くに見えるところまで探しにきたけど、どうしても見つかりません。
ケンタの目からは、知らない間に涙がこぼれていました。

そんなケンタを一人橋の上で待っているふらんきぃは、いつまでたってもかえってこないケンタのことが心配になり、探しにいかなくちゃ、と思いました。
でも、ふらんきぃは自転車なので、自分だけで移動することができません。
 そこで、ふらんきぃは、何とか力を振りしぼり、とおりすがりの人にたおれかかることを始めました。たおれかかり、ぶつかった人に何とか気付いてもらい、その人といっしょにケンタを探しに行こうと考えたのです。
 「ようし、行くぞ!それっ!」
 「いたっ。なんだこの自転車は!」
何人もの人にたおれかかり、気付いてもらおうと必死にがんばりましたが、みんな気付くどころか、おこってしまいます。
それでも、ふらんきぃには、これしかできる事がないので、何度も何度もくり返しました。
そのとき、
 「なんだこの自転車は、むかつくな!」
その男の人は、ふらんきぃに対してとてもおこっています。
そして、ふらんきぃをけり飛ばしました。
ふらんきぃは何度もその男の人にけり飛ばされ、最後は、橋の下に投げすてられてしまいました。
 「あーすっきりしたぜ。」
その男の人はふらんきぃをぼろぼろに投げすてて、過ぎ去っていきました。

しばらくして、ケンタが泣きながら遊歩道を歩いて戻ってきました。
posted by きままなしおん at 19:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 夢の声
2008年01月06日
結局、そのお母さんらしき人には、あうことはできませんでした。
悲しい気持ちでかえってきたケンタの前に、なんと、ぼろぼろになったふらんきぃが遊歩道わきの草むらの中に、横たわっているではありませんか。
 「ど、どうしたのふらんきぃ!大丈夫?」
慌てて涙をぬぐい、横たわるふらんきぃを揺さぶり、精一杯の声でよびかけますが、ふらんきぃはピクリともしません。
 「どうしたのふらんきぃ、返事をしてよ!」
何をいっても目をとじたままです。
 ケンタは必死でした。お父さんお母さんがいなくなり、今はふらんきぃしか自分と話ができる人はいません。
ふらんきぃがいなければ、また一人ぼっちになってしまいます。
ケンタは何度も何度もふらんきぃを呼びました。
「ふらんきぃ!、ふらんきぃ!」
いくら泣きさけんでも、おなじです。サドルのクッションはやぶれ、中のわたが少しはみ出しています。チェーンは外れ、ペダルも曲がっています。かごはゆがみ、顔の部分がイタイタしいです。

すると、ケンタがふらんきぃの前で泣きくずれていたところに、同じクラスの子3人組が通りかかりました。
posted by きままなしおん at 12:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 夢の声
2008年01月07日
 「あれ、あそこにいるの、ケンタじゃない?」
 「本当だ、どうしたんだ。あんな大きな声でないているぞ。」
クラスの子達は、みんなケンタの声を聞いたことがありません。
しかもそのケンタが大きな声で、泣きくずれています。
必死に自転車に向かって呼びかけているケンタのすがたを見て、みんなはとても驚きました。
そしてケンタの必死な様子をみて、いままで学校で意地悪なことを言っていたみんなが、ケンタを助けてあげたいと思うようになったのです。
 「ケンタ、どうしたんだ?」
 「なんで泣いているの?」
 そのとき、ケンタは答えました。
 「ふらんきぃが死んじゃった。」
ケンタはみんなに初めて言葉を返しました。
みんなはその様子をみて、すぐに理解できました。
 そこで3人組の中の一人、タクミがいいました。
 「おれのうちに連れて行こう!」
 タクミの家は自転車屋さんです。とにかく家のもって帰ればお父さんが何とかしてくれるかもしれません。
すると、タクミとカズヤの二人がふらんきぃをかつぎあげ、ジュンが泣いているケンタの手を引き、4人でタクミの家を目指しました。

 「いったいどうしたんだ、おまえ達!」
 「ケンタの自転車が大変なんだ。」
タクミのお父さんは、4人の熱意に圧倒されて、それ以上何もいえません。
 「とにかく分かった。」
タクミのお父さんは、そういってふらんきぃを作業台にのせ、できるかぎりのことをしてくれました。

 「こんなもんで勘弁してくれ。」
1時間たって、タクミのお父さんがやっと口を開きました。
 「ふらんきぃ、大丈夫?」
さっきまでケンタの呼びかけにまったく反応がなかったふらんきぃが、にっこり目を開けてうなずきました。
 「よかった、ふらんきぃ。助かったんだね。」
ケンタの晴れやかな笑顔をみて、みんなもすっかり大喜びです。。
 「やったー。良かったなケンタ!」
 「みんなありがとう。本当にありがとう。」

気付いたら、ケンタは自然にみんなに声をだしてお礼をいっていました。
あの事故から、だれとも、一言も話をしてこなかったケンタが、今自分達に話をしてくれたことに、3人の友達もなんだかとってもうれしくなり、気付いたら4人は本当の友達になれたような気がしました。


 「おーいケンタ、はやくしろよ。」
 「ちょっと待って、今行くー」
 「ケンタ、忘れ物だよ。」 
 「ありがとうおばあちゃん、行ってくるね。」
夏休みも終わり、ケンタは友達といっしょに学校に行きます。
学校から帰ったら、友達と一緒に自転車で遊びに行きます。
もちろん、ふらんきぃもいっしょです。
そういえば、ふらんきぃは、あれからケンタと話をしなくなりました。
でもケンタはさみしくありません。
なぜなら今はいっぱいの友達といつもいっしょだから、そして、なによりもふらんきぃの顔が、以前と比べて曇りのない、ニコニコした最高の笑顔でいてくれるからです。




…おしまい
posted by きままなしおん at 17:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 夢の声
2008年01月09日
お読み頂きありがとうございます。

「ケンタのふらんきぃ」はカッちゃんこと我が家のパパが夢で見たストーリーだそうです。
夢でここまでちゃんとストーリーがハッキリしてるって珍しいですよね。
私の見る夢なんてほとんど、ベッドから離れると同時に忘れています。それに、忘れない夢はと言っても「ガケから落ちる」とか「天井に何本もの棒が刺さっていて、そこにロープが絡まり小人になった私がそれを解いている」とかまあ、ようするに変な夢しか覚えていない訳でこんな夢が見られるなんてうらやましいなっかわいい
皆さんはどんな夢を覚えてますか?

次回作は夢ではないかもしれませんが、「書きたいのがある」って言っていたので私も楽しみにしています。
不定期ですがまたアップしていきますのでどうぞ宜しくお願いいたします。
また、感想がありましたらコメントおねがいします。
posted by きままなしおん at 19:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 夢の声
blogram投票ボタン
ブログ広告ならブログ広告.com

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。